企業から見た大学併修システムの卒業生

専門性の高い職業が必要な会社にとって、「一般教養」と「即戦力となる能力」を兼ね備えた新卒は非常に重宝されます。4年制大学か専門学校かのどちらかだけを卒業した新卒は、この2つの知識や技術が偏っている傾向にあります。大学の卒業生は専門的な能力がないために、一から企業が教育する必要があり、実際に現場に貢献できるようになるまで数年を必要とします。逆に専門学校の卒業生は現場で活躍できるものの、文章作成能力が未熟であったり、ビジネスマナーや一般教養が身についていないために円滑な連絡や挨拶が出来なかったり、時にはお客様に対して気づかず失礼な対応をしてしまうことよって発注を減らしてしまう等重大なミスに繋がりかねません。

新人ゆえのミスは多少仕方ないにしても、ないにこしたことはありません。そこで注目されているのが大学併修システムの卒業生です。例えば、ゲームのイラストを描く職業を例に見てみましょう。まずイラストを描けないことにはどうしようもないので、前提として絵が描ける専門技術を身につけている必要があります。それもビジネスレベルで通用するイラストであることが必須です。趣味でイラストを描いている人は多いですが、昨今ではデジタルイラストが主流のため、専門学校で対応のペイント系のソフトの操作知識を学んでおり、更に数をこなして描いている人のほうが即戦力と言えます。

しかしながら、この専門学校を卒業してプロとして通用するイラストを描ける人であっても、更に必要なビジネスマナーやコミュニケーション能力が欠けている場合が多いのです。まずどんなイラストが必要か、コンセプトが必ずあります。それに沿ったイラストを描くために、上司や発注元のお客様を相手に質疑応答が必要です。これが出来ない人が意外と多いのが問題になっています。また、基礎的な電話対応やプレゼン等が苦手といったケースも珍しくありません。こういった分野は大学卒業生のほうが高いスキルを持っていることが多く見受けられます。そのため、大学併修システムを導入している学校の卒業生は企業側からも非常に魅力的というわけです。

大学併修システムのカリキュラム

大学で習得できる「一般教養」と専門学校で身に着けられる「即戦力となる能力」の両方を同時に学ぶ事が出来る「大学併修システム」。どんな内容なのか一部の例をあげて詳細をご紹介致します。

まず、大学で学ぶ「一般教養」についてはなじみ深いかと思いますが、社会常識や人間関係形成力等の基礎的な能力や、社会的・職業的に自立するために必要な全般の職業に不可欠である汎用的な能力を身につけることができます。また、論理的思考力やそれを言葉に出して説明する能力も同様です。

次に、専門学校での「即戦力となる能力」については目指す職業ごとにコースがわかれている学校が多いため、一概には言えませんがいずれも専門的な学習内容が用意されています。専門学校の修業年限の長期化が進んでいる医療、工業、商業実務、福祉等の分野や、近年長期化された自動車整備、会計、情報系分野で大学併修導入校が増加していますが、例えば自動車整備の専門学校であれば、必要な「自動車の構造知識」、「正確な故障箇所の診断ができる能力」や「部品交換のスキル」等を習得できます。

また、企業で働くために昨今ではITの知識やPC操作が当たり前になっているため、その実務知識の学習内容をカリキュラムに取り入れている学校が多くなっています。その他にも、目指す職業にマッチした資格取得のサポートも行われており、就職に有利な状態で卒業できます。

学生にとっての大学併修のメリット

大学併修には、学生にとって多くのメリットがあります。まず挙げられるのが、より幅広く、高度なスキルと教養を身に着けることができるという点です。専門学校で、就職に直接役立つような、専門性の高い知識と技能を学びながら、短大・大学で一般教養や常識、論理的な思考能力など、汎用的な能力を得られます。

さらに、短大や大学の卒業資格も取得することができるため、就職においては非常に有利です。即戦力となりうる幅広いスキルを習得していることはもちろんですが、応募時点で「大学卒以上」などの条件が出されている職種にも挑戦することができるようになります。選択肢が広がるため、希望する仕事にも就きやすくなるでしょう。

また、2つの学校に通うということは、2つの異なるコミュニティに属するということでもあります。いろいろな人と関わることで、視野を広げ、豊かなコミュニケーション能力の形成の助けとなることも期待できます。学力はもちろん、大学併修によって人間的にも大きく成長できるでしょう。

併修にはもちろん大変な努力が必要ですが、それに見合うだけの見返りは必ず得られます。将来の就職活動への投資として、あるいは自分自身の成長と自信のため、専門学校と大学の併修システムを利用するのは賢い選択肢と言えるでしょう。

大学併修システムの専門学校とは

大学併修システムをご存じでしょうか。耳慣れない方も多いかと思います。専門学校に入学すると共に、大学の通信教育課程にも入学し、2つの学校の同時卒業を目指すシステムのことを「大学併修システム」といいます。高校卒業後の進学選択として、大学・短期大学・専門学校のいずれか一つを選択することを「「単線型進路」と呼びます。それに対し、前述の通り2つの学校で学ぶことを「複線型進路」と呼びます。この複線型がもう一つの進路として現在注目を集めています。それは何故でしょうか。

保護者や学校、就職先の会社側は依然として大学志向が根強く、それに伴い大学進学を希望する学生も多いため、高校新卒者の大学への進学率は48.9%で過去最高を記録しました。(文部科学省の平成27年度学校基本調査から引用)一方、学生や会社側は職場での即戦力となるスキルの習得やひとつの目的にそった学習を望んでいます。「できれば大学に進学させたい」と思う保護者は多く、それに反した進路を選ぶ子供と意見が別れて口論になることも珍しくありませんよね。この2方向の希望を叶えることが出来るという理由から、大学併修システムが今注目を集めており、導入校も増加しているというわけです。

また、大学併修システムを利用した卒業生は、「ビジネスに対する一般知識」と「専門的な知識や実務に役立つスキル」を取得できることから、将来任せられる役職の選択や給与を多く出来る可能性が高いことも魅力的です。